老年歯科医学
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臨床報告
摂食嚥下障害を有する進行性核上性麻痺の要介護高齢者に対して人生の最終段階まで口腔健康管理を行った一症例
田中 章寛
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2022 年 37 巻 3 号 p. 246-254

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抄録

 進行性核上性麻痺は不可逆的な進行性神経性疾患である。今回,特別養護老人ホーム入所中の進行性核上性麻痺患者に対して,経口摂取が困難となり胃瘻造設後も終末期まで口腔健康管理を行った約3年間の症例について報告する。

 患者は71歳,男性。施設職員からの主訴は「食形態や摂食行動について評価をしてほしい」であった。口腔内は口腔衛生状態不良,臼歯部の咬合はなく義歯の使用はなかった。補綴前処置を行い局部床義歯作製,摂食機能療法および口腔衛生管理を行った。初診から1年後に誤嚥性肺炎で入院した。退院後の嚥下内視鏡検査では,誤嚥する危険が高いため経口摂取中止を後見人に伝えた。しかし,後見人は経口摂取の継続を希望したため,われわれは体重減少と低栄養回避のための栄養指導を含む多職種連携による経口維持計画を立案した。初診から2年後の嚥下造影検査において明確な誤嚥を認めたため再度後見人と話し合いの機会をもち,経口摂取中止の了解を得た。その後,胃瘻造設手術を行い,看取り対応となり74歳で死亡した。

 本症例を通して,進行性核上性麻痺の進行により経口摂取の中止にいたるまで,少量でも食べることを支援し,看取り対応になってからも口腔衛生管理を最期まで行うことで,人生の最終段階まで口腔のQOLを維持することができた。そのため,多職種連携を軸とした摂食機能療法や栄養指導,口腔衛生の維持改善を継続した口腔健康管理が重要である。

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© 2022 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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