老年歯科医学
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ピック病患者における歯軋り治療の経験
山田 素子山崎 喜之堀江 伸行高橋 千賀子佐藤 雅志
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2001 年 15 巻 3 号 p. 265-268

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抄録
ピック病患者における弓鍍の歯軋りを治療する機会を得たので, その概要を報告する.
患者は56歳の女性で, 主訴は歯軋りである.既往は, 胆石症手術, ピック病, 腸閉塞である.1992年にピック病と診断され, 1994年始めより錐体外路症状の発現とほぼ同時期より歯軋りが発現していたが, 放置されていた.1996年に腸閉塞で当院消化器科に入院した際に, 当科に受診した.初診時, ピック病の第m期であった.咬筋の緊張が強く, 大きな音を伴う歯軋りを常に行っており歯牙の咬耗が著しかった.当初, 軟性のエルコフレックス®を用いたオクルーザルスプリントを上顎に装着した.歯軋り音は消失したが, 短時間でエルコフレックス (R) が脱落した.次に常温重合アクリルレジンを添加したところ, 歯軋りの音, 頻度ともに大幅に減少した.さらに経皮低周波通電療法を試みたところ同様に歯軋りが減少した.
今回我々が経験したピック病患者の歯軋りは脳神経疾患に伴う錐体外路症状の一つと思われた.歯軋りの治療にはスプリント療法および経皮低周波通電療法が有効であった.
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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