老年歯科医学
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鹿児島県の特別養護老人ホームにおける口腔ケアに関する実態調査
介護職員の口腔ケアに対する認識について
中村 康典三村 保野添 悦郎平原 成浩宮脇 昭彦西原 一秀守山 泰司角 保徳
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2001 年 16 巻 2 号 p. 242-246

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抄録

鹿児島県下の特別養護老人ホーム59施設に従事する職員の口腔ケアに対する意識に関してアンケート調査を行い, 45施設, 1, 211人より回答を得た。回答者は男性183人, 女性1, 028人, 平均年齢41.8歳だった。
口腔ケアを行ったことがあると回答した職員は1, 028人 (84.9%) で, 看護婦, 寮母はそのほとんどが行っていた。95.8%の職員が口腔衛生に関心を示し, 99.7%の職員が口腔ケアの重要性を認識し, さらに77.7%の職員が口腔ケアと誤嚥性肺炎等の全身疾患との関連についても認識していた。その一方, 多くの職員が今の口腔ケアでは不十分と感じていた。42.9%の職員が口腔ケアの指導を受けてたことがあると回答していたが, 94.8%の職員が口腔ケアの指導を受けたいと回答していた。介護現場職員の口腔ケアに対する認識は高いものの, 十分な教育指導がされておらず, その充実が今後の課題であると思われた。
口腔ケアの実施に関しては43.6%の職員が負担に感じており, ほとんどの職員が簡単に口腔ケアができる器具やより有効な方法の開発を望んでいた。また, 一定の基準に基づき系統だった方法による標準化された口腔ケアを行ったことがある職員は3割にも達していなかった。要介護高齢者への口腔ケアの普及と向上を進めていくうえで, 職員の口腔ケア実施に対する労力, 負担を軽減する支援機器を開発し安全確実で標準化された口腔ケアの方法を確率し提示していくことが必要であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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