老年歯科医学
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義歯装着患者に対する口腔湿潤剤の開発
開発コンセプトと試作品の概要
菅 武雄日野 悟男森戸 光彦
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2003 年 18 巻 3 号 p. 205-209

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抄録

義歯を生活の中で順応させ機能させるための新しい手段を開発するために, 義歯装着者に対する口腔湿潤剤の開発を行った。
開発コンセプトは, 義歯への順応を円滑にするためのサポート材料と位置付け, セルフケア用品として患者が生活の中で使用するものを目指した。
義歯装着者に最適化された口腔湿潤剤の物性を明らかにするために, 口腔湿潤剤の材料設計を行い, その設計に基づき試作品を製作し, 物性評価および臨床評価を行った。
最初に口腔湿潤剤の材料設計をレオロジカルデザイン中心に行った。材料設計は, 1) 義歯粘膜面に貼布する水溶性ジェル, 2) 咬合を変化させないせん断応力500Paから1, 000Pa程度のフロー, 3) 降伏応力を持たない, 4) 応力により内部構造が変化しない, 5) 安全性の高い原材料, 6) 無色・無味・無臭, という要点にまとめられた。
臨床評価では, 使用方法は起床時, 機能 (食事) 直前, 口腔ケア後の使用が効果的であるとの結果を得た。また一回使用量0.2~0.49という目安を得ることができた。結果としてパッケージ容量50gで約一ヵ月間使用可能という目安を得た。湿潤効果時間は主観評価にて平均4.0時間であったが, 20分から9時間の幅が認められた。臨床効果においては, 60% (9名) の患者に何らかの効果が認められ, 著効例20%, 効果例20%, 若干効果例20%であった。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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