老年歯科医学
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特別養護老人ホーム入所者における口腔内Candida属菌に関する研究
平澤 正知高田 和子梅澤 幸司績橋 治齋藤 真規牧村 正治妻鹿 純一
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2005 年 20 巻 3 号 p. 196-201

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抄録

本研究は特別養護老人ホーム入所者におけるCandida属菌についてその分布, 分離菌種ならびにC.albicansの血清型および分泌性の酸性プロテアーゼ (Candida acid proteinase, CAP) の活性に関して自宅で生活を営んでいる高齢者と比較検討した。
1) Candida属菌は特別養護老人ホーム入所者においては33名中25名 (75.8%) に, 自宅生活者においては18名中9名 (50.0%) に検出された。
2) Candida属菌の総菌数に対する比率はいずれも非常に低率でCandida属菌が検出された対象者における総菌数に対する比率は特別養護老人ホーム入所者においては平均0.086%, 自宅生活者においては平均0.007%であった。
3) Candida属菌検出者の菌種構成は特別養護老人ホーム入所者においてはC.albicansのみが9名, C.albicansC.glabrataの2菌種が7名と主流であった。一方, 自宅生活者においてはCandida属菌が検出された8名中5名においてC.albicansのみだった。なお, 検出されたC.albicansの血清型は, ほとんどがA型であり, B型を単独で有している者はいなかった。
4) CAP活性は菌株によりその生産量は異なるものの特別養護老人ホーム入所者と自宅生活者の間に有意性は認められなかった。
特別養護老人ホーム入所者においてCandida属菌の検出者率および総菌数に対する検出比率が自宅生活者に比較して高いところから, 易感染宿主になった場合には日和見感染症になる可能性は危惧されるものの, その菌種構成, C.albicans血清型ならびにCAP活性に対照者と大きな違いは認められなかった。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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