1993 年 8 巻 1 号 p. 14-19
床用人工歯として従来より用いられているレジン歯は, 耐摩耗性および耐変色性が, 陶歯に比較して低く, そのため義歯の長期使用により, その審美性を大きく損ねていた。
近年, この従来型レジン歯の短所を改良した硬質レジン歯が開発され, 臨床に多用されている。しかし, この硬質レジン歯を用いて調製された局部床義歯も, この人工歯の被着色性から, 審美性の低下した症例が日常の臨床で多く見られる。
本研究は, 硬質レジン歯の被着色性を探究することを目的として, この人工歯を着色液に浸漬し, in vitroにて被着色性を検討した。
その結果, 硬質レジン歯の被着色性は, 従来型レジン歯と比較するとやや低いが, 陶歯よりも極めて高い傾向であった。また, 供種人工歯の被着色性は, 毎日超音波洗浄したほうが, しないよりも小さい傾向であった。