老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
佐渡総合病院歯科口腔外科1993年度受診患者の臨床統計的観察
高齢入院患者について
武田 幸彦金子 恭士根橋 克明岡野 篤夫加藤 譲治
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 9 巻 3 号 p. 212-217

詳細
抄録

今回われわれは, 1993年4月1日より1994年3月31日までの1年間における佐渡総合病院歯科口腔外科入院患者のうち65歳以上の高齢者について臨床統計的観察を行った。
1993年度に歯科口腔外科に入院した患者数は65例で, このうち65歳以上の患者は29例であり, 入院患者の高齢化率は44.6%とかなり高いものであった。年齢分布は, 65歳から87歳に渡り, 平均年齢は74.2歳, 男女比は1: 1.9で女性が約2倍であった。疾患分類では外傷と炎症がそれぞれ7例 (24.1%) と多く, 以下, 歯科疾患, i嚢胞疾患, 良性腫瘍および腫瘍類似疾患, 悪性腫瘍, の順であった。入院日数は2日から43日で平均入院日数10.4日であった。何らかの基礎疾患を有している患者は62.1%であり, そのうち基礎疾患を2つ以上有している症例は27.6%であった。基礎疾患の種類としては高血圧症が最も多く41.4%を占めていた。その他, 心疾患や脳血管系疾患, 代謝性疾患などがみられた。世帯構造については夫婦または単独の高齢者のみによる世帯は7世帯 (24.1%), 夫婦と子供の世帯は9世帯 (31.0%), 三世代以上の世帯は13世帯 (44.8%) であり, 佐渡地域における高齢者世帯の増加が示唆された。地域的には病院から距離が遠く, 交通の便の悪い地域に居住する高齢者の入院患者が多く, またこのような地域は高齢化率の高いところでもあった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top