日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
経年発見進行癌から見た大腸内視鏡検査精度向上への工夫
大島 奈々入口 陽介小田 丈二水谷 勝冨野 泰弘山里 哲郎依光 展和園田 隆賀岸 大輔橋本 真紀子清水 孝悦中河原 亜希子細井 董三山村 彰彦
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 58 巻 6 号 p. 1015-1024

詳細
抄録

3年以内に当センターで全大腸内視鏡検査(以下,TCS)歴がある進行癌を「経年発見進行癌」と定義し,その特徴を解析し,大腸内視鏡検査の精度向上を目的として検討を行った。2010年4月から2018年3月の8年間に当センターで施行したTCS43,852件のうち,全悪性腫瘍発見数は3,020例で,このうち経年発見進行癌は19例(0.6%)であった。盲腸や上行結腸などの高い半月ヒダの裏や屈曲部,憩室による伸展不良部位に多く,これらはTCSでの観察不良部位と考えられた。その他,前処置不良による偽陰性症例や大腸術後の術式把握不足,憩室内発生,ポリープ癌化などの症例が存在した。大腸がん検診の二次精密検査であるTCSの精度向上に向けて,観察不良部位を念頭においた検査の工夫を行うことは重要である。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top