日本消化器がん検診学会雑誌
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最新号
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巻頭言
原著
  • 尾上 耕治, 山田 浩己, 新川 仁奈子, 宮﨑 貴浩
    2024 年 62 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2023/12/29
    ジャーナル 認証あり

    【目的】経鼻内視鏡検査において, 口呼吸ではなく鼻呼吸を行うと咽頭反射が少なくなり受検者の忍容性は向上するという報告がある。鼻呼吸の推奨により腫瘍発見率が向上するかを明らかにするために, 食道・咽頭がんの拾い上げに有用な所見として広く用いられている食道Brownish areaについて, 鼻呼吸を推奨しなかった対照群と鼻呼吸を推奨した群において発見率を比較検討した。

    【対象と方法】2020年8月1日から2023年1月31日までに両群とも同じ術者3人, 内視鏡3機種を使用した経鼻内視鏡受診者4,560人:対照群3,244人(男2,042:女1,202, 平均年齢54.7)および鼻呼吸推奨群1,316人(男821:女495, 平均年齢54.8)を対象とした。画像強調内視鏡観察によりBrownish areaを拾い上げた。

    【結果】2022年6月21日までの鼻呼吸推奨なしの受診者数は3,244人, Brownish areaが発見されたのは52人(発見率1.6%)であった。一方2022年6月22日以降の鼻呼吸推奨ありの受診者数は1,316人, Brownish areaが発見されたのは40人(発見率3.0%)で両群に有意差を認めた。なお, 内視鏡機種の違いによるBrownish area発見頻度には有意差を認めなかった。

    【結語】経鼻内視鏡検査における鼻呼吸の推奨は, 食道Brownish areaの発見率が高く食道がんの早期発見に寄与することが期待される。

  • 森 英輝, 座覇 修
    2024 年 62 巻 2 号 p. 114-124
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/01/31
    ジャーナル 認証あり

    【目的】腹部超音波(AUS)検診で指摘された膵の描出不能例(描出不良例を含む)と異常所見例(膵嚢胞, 膵管拡張, 膵腫瘤)に対し, 膵臓専門外来(膵外来)を設けて精検を行い, 膵有所見例を膵外来でフォローすることが, 膵癌の高危険群の拾い上げと早期発見に寄与するかを検討すること。

    【対象と方法】2020年1月からの3年間でAUS検診を受診した34,066例を対象とし, 精検受診者の膵所見発見率を膵外来開始前(前群)と開始後(後群)の18か月間ずつにわけて比較した。後群の膵有所見例は, 全例膵外来でフォローした。

    【結果】AUS検診で指摘された膵の描出不能例は4.9%, 異常所見例は0.8%であった。描出不能例のうち, 精検後に膵有所見となったのは前群/後群でそれぞれ7.6%/25%で, 後群が有意に高かった。異常所見例の膵所見発見率は同等であった。精検後に5mm未満の微小膵嚢胞を膵癌高危険群として膵外来でフォローし, 早期の膵癌を2例診断した。

    【結語】AUS検診の膵描出不能例に対し, 膵外来で精検を行うことで膵所見発見率が増加した。また, 精検で拾い上げた膵癌高危険群を膵外来で継続してフォローすることで, 膵癌の早期診断が期待できる。

地方会抄録
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