日本消化器がん検診学会雑誌
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巻頭言
会長講演
  • 岡 政志
    2019 年 57 巻 6 号 p. 1101-1113
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル 認証あり

    胃がん検診には, 先人の大きな功績である, 胃X線検診と胃内視鏡検診が多くの人に福音をもたらしている。そして, 血液による胃がんリスク層別化分類法が登場した。これは従来と全く異なった概念でアプローチしており, また, 各個人における胃がんリスクをある程度推測できるようになった。これは血中のHelicobacter pylori(H.pylori)抗体価の陽性・陰性と血清ペプシノゲン(PG)法の陽性・陰性を組み合わせて3群(ABC分類)または4群(ABCD分類)に分けて, 胃発がんのリスクを調べたものである。ABC分類はPG法陰性の被験者をH.pylori抗体でA, B群に分け, PG法の限界であった非萎縮性胃炎群を未感染者と現感染者に分けることができ, A群はH.pylori未感染者をかなり囲い込むことができるようになった。また, 4群では, さらにPG法陽性の被験者をH.pylori抗体価の陽性のものをC群, 陰性のものをD群としたのが工夫であり, H.pylori抗体陰性者の中の高度萎縮・腸上皮化生を生じた被験者を超高リスク群として分けることができた。しかし血液抗体価検査法は1990年代と2000年以降ではキットが異なっていることが問題である。現状で最も用いられている栄研化学 E-plate kitではカットオフ値が10 IU/mLであるが, 埼玉医科大学病院での多数症例の検討で, 抗体価が3以上10未満の陰性高値の患者では既往感染や現感染が多く含まれていることがわかった。これはA群に偽陰性者が存在することになる。抗体価については, 平成29年4月より, ABC(D)分類においてはカットオフ値を3未満で切るようにしたため, この改訂により偽陰性の被験者は少なくなることが期待される。しかし, 抗体価3未満でも現感染・既往感染症例があり, やはりA群について, 画像診断を省略することはできない。

    血液による胃がんリスク診断は, 特性をよく知って使用すれば, 非常に有用なものである。使用する場合には必ず画像診断と同時に行うことを強調したい。

総説
  • 小林 正夫, 西大路 賢一, 釜口 麻衣
    2019 年 57 巻 6 号 p. 1114-1127
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル 認証あり

    2011年4月から2018年3月までに当院健診センターを受診した47,857人(男性25,648人, 女性22,209人,平均年齢56.4歳)を対象とし, 除菌治療の有無や, 発見胃がん, 除菌後胃がん等を検討した結果を踏まえ, 胃がん検診のあり方について提言する。

    当院では2014年から胃がん検診受診者にH.pylori感染診断に関する情報提供とH.pylori陽性者への除菌勧奨を行っている。その結果, H.pylori検査受診者数が増加し, H.pylori陽性者の除菌治療受診率や除菌率の上昇を認めた。

    保険適用以前の2011年から2013年の内視鏡検診発見胃がんは, 49例(男性34例, 女性15例)で, 内11例が除菌後胃がんであった。一方, 保険適用後の2014年から2017年の発見胃がんは, 51例(男性32例, 女性19例)で内15例が除菌後胃がんであった。今後, H.pylori除菌例の増加とともに除菌後胃がんも増加すると思われ, 胃がん対策には胃がん検診においてH.pylori胃炎の判定と情報提供, 及びH.pylori感染者への除菌勧奨や除菌後胃がんに関する情報提供を行うことが重要である。

原著
  • 橋岡 由佳, 佐藤 慎祐, 徳田 泰司
    2019 年 57 巻 6 号 p. 1128-1140
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル 認証あり

    入れ歯安定剤が硫酸バリウム(以下バリウム)の胃壁への付着過多を起こした場合の検査中の対応について検討した。

    3社(A社, B社, C社)のバリウムと入れ歯安定剤2製品(以下D, E)を用いて粘度測定を行った。バリウムに人工胃粘液と発泡剤を加え粘度を測定した後D, Eを加えて再度測定した。既知の報告により本実験は50°Cのお湯30mLを追加して粘度測定をした。次にマーゲンファントムを撮影して視覚評価も行った。

    D, E付加で粘度が上昇した。湯の追加で粘度はD, E付加前と同等または低下した。視覚評価では付着の評価も病変の評価も一部の条件を除き, D, E付加でバリウム溶液と有意差があり, 湯の追加でバリウム溶液と有意差はない結果となった。

    バリウム溶液は懸濁液が冷水では粘度が上昇するためD, E付加で上昇した粘度を検査中に下げるにはお湯の方が効率的であると考えられた。ゆえにお湯30mLの追加は画質を担保できバリウムの付着を改善することが期待出来る。

  • 中島 滋美, 椿本 由紀, 安藤 美雪, 茶谷 玲奈, 大原 真理子, 森 直子, 長谷川 大, 早藤 清行, 山本 和雄, 藤山 佳秀
    2019 年 57 巻 6 号 p. 1141-1152
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル 認証あり

    一次内視鏡検診と二次内視鏡検査で胃がん発見率を比較し, 胃がん検診の効率化を検討した。数値は日本消化器がん検診学会の全国集計, 加古川市ハイブリッド検診および大津市胃がんリスク検診から引用した。一次内視鏡検診の胃がん発見率は0.19%, 胃X線検診の二次内視鏡検査の胃がん発見率は1.87%であった。X線の背景胃粘膜診断およびABC法の二次内視鏡検査からの胃がん発見率は, それぞれ0.96%と0.72%であった。一次内視鏡検診の胃がん発見率を1とすると, 胃X線検診要精検, 同背景胃粘膜診断およびABC法の二次内視鏡検査の胃がん発見率は, それぞれ9.8, 5.1, 3.8倍であった。限られた内視鏡検査capacityでは, 胃X線検診, 同背景胃粘膜診断およびABC法の二次内視鏡検査は一次内視鏡検診より効率がよい。中でもX線背景胃粘膜診断による胃がんスクリーニングの感度・特異度は90%以上と推定され期待できる。

  • 髙山 歳三, 髙林 健, 大岩 修太郎, 吉田 将大, 藤井 亮爾, 皆川 武慶, 岡川 泰, 住吉 徹哉, 平山 眞章
    2019 年 57 巻 6 号 p. 1153-1160
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル 認証あり

    大腸CTは欧米のみならず本邦でもその評価が高まっている。一般に, 大腸CTではC-RADS評価により6mm以上あるいは10mm以上のピックアップ病変を大腸内視鏡検査に推奨している。今回, 当院で内視鏡的あるいは外科的に切除された大腸癌299病変の切除病理結果について後方視的再検討を加え, C-RADS評価により経過観察と判断される可能性のある進行癌の有無について検討した。299病変のうち, 10mm以下の進行癌を2病変に認めた。いずれも径10mmの病変であり, 6mm以下の進行癌は認めなかった。この2病変について, 大腸CT所見を検討するといずれもC2以上の病変として指摘可能であった。6mm以上の病変, あるいは10mm以上の大腸CTピックアップ病変に大腸内視鏡検査を推奨するC-RADS評価は概ね妥当と考えられた。

  • 瀧田 通, 宍戸 淑子, 髙木 健治
    2019 年 57 巻 6 号 p. 1161-1172
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル 認証あり

    肝嚢胞は変化の少ない病変といわれているが, 2007年~2017年に経年受診者の超音波検査で, 指摘歴のある肝嚢胞の無エコー域がほぼ消失し肝血管腫様超音波像に変化した40例を経験したので, その超音波所見について検討した。肝血管腫様超音波像は輪郭明瞭な腫瘤像26例と, 輪郭不明瞭で低エコーな腫瘤像14例に分類でき, 辺縁高エコー帯は19例に認めた。再受診した34例中30例は同様の超音波像を認め, そのうち11例は5年以上継続していた。今回の40例は経年受診者の為, 肝嚢胞の無エコー域が消失した腫瘤像と認識できたが, 受診歴が無い場合肝血管腫との鑑別は困難である。肝血管腫様超音波像は継続した症例が多く, 超音波検査で肝血管腫と診断した所見の中に, 肝血管腫様超音波像が含まれている可能性が示唆された。肝血管腫を疑う所見を認めた場合, 過去同部位に肝嚢胞の指摘歴が無いか確認して, その可能性を除外する必要がある。

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