日本消化器がん検診学会雑誌
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総説
日本における大腸がん死亡の現状と大腸がん検診の課題~英国および米国との対比を含めて~
松田 一夫
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2020 年 58 巻 6 号 p. 972-982

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抄録

日本の大腸がん年齢調整死亡率は1996年頃から減少に転じたが,2016年には先進7か国の中で日本がもっとも高い。日本では1992年から免疫便潜血検査2日法による大腸がん検診を開始したものの,十分に効果を発揮しているとは言えない。

日本における大腸がん検診の問題点は,①地域保健・健康増進事業報告(2016年)による精検受診率が68.5%に過ぎず,②国民生活基礎調査(2016年)による検診受診率が41.4%と低いことである。一方で英国では便潜血検査を用いた組織型による大腸がん検診が行われていて2015年の受診率は50%を超え,精検受診率も80%以上である。加えてイングランドではS状結腸鏡による検診も開始された。米国では10年に1回の全大腸内視鏡を主とした大腸がん検診が行われ,2015年の受診率は60%を超えている。その結果,英国および米国の大腸がん年齢調整死亡率は着実に減少し,今や日本よりも低い。

日本の大腸がん死亡率をさらに減少させるには,まず便潜血検査による大腸がん検診の精検受診率を高め,さらに職域を含めすべての国民に受診勧奨して受診率を高めること,加えて大腸内視鏡検診の検討も必要である。

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© 2020 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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