2021 年 59 巻 1 号 p. 68-77
【背景】上部消化管内視鏡検査において咽喉頭口腔領域癌の早期発見の役割が期待されるが,検診における検討は十分ではない。
【対象と方法】任意型上部消化管内視鏡検診51,628例を対象とし,咽喉頭口腔所見で要精検となった例を調査した。
【結果】咽喉頭口腔所見での要精検例は123例,0.24%であり,83例は耳鼻咽喉科受診が確認でき,診断まで確認できたのは77例だった。その他に後日の内視鏡検査での消失もしくは不変の確認により悪性でないと分類した所見が,それぞれ7例,2例であった。咽喉頭口腔癌発見は0例であり発見率0%(0/51,628),陽性的中率0%(0/86)であった。軽度~中等度異型のある病変は発見率0.01%(6/51,628),陽性的中率7.8%(6/77)であった。診断が確認できた症例の診断は,異常なし,肉芽腫,乳頭腫,リンパ濾胞,嚢胞などであった。
【結論】咽喉頭口腔観察方法が規定されていない任意型上部内視鏡検診では,咽喉頭口腔癌の発見率は極めて低く,偽陽性や過剰診断が生じている可能性も示唆された。発見率の向上および不利益減少のため,観察方法,判定の基準,リスク層別化などについて咽喉頭,食道の専門家と共同でのコンセンサス作りが必要である。