日本消化器がん検診学会雑誌
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Nematode-NOSE(N-NOSE)による消化器系がん検出能の検討
西川 稿土屋 昭彦高森 頼雪原田 容治堀部 俊哉広津 崇亮
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論文ID: 20016

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抄録

【背景】がんの早期発見は重要であり,簡便で高精度ながん検査が求められている。広津らによって開発されたNematode-NOSE(以後N-NOSE)は,尿を検体として線虫Caenorhabditis elegans(以後C. elegans)の優れた嗅覚を利用した簡便ながん検査であり,先行研究では95.0%の特異度と95.8%の感度が報告されている。

【対象】本研究では消化器系がん74例と非がん30例の尿検体を用いN-NOSEの性能の検証を行った。

【結果】N-NOSEインデックスは,がんと非がんで有意差p<0.0001が認められ,ROC解析ではAUC=0.774が示された。がんの感度は81.1%と高く,特異度は70.0%であった。がん種別の感度は食道癌80.0%,胃癌68.8%,大腸癌80.0%,肝細胞癌90.9%,胆道癌100%,膵臓癌80.0%,ステージ別ではIで76.9%,IIで90.9%と早期から高い感度を示し,腫瘍マーカーとの大きな違いが見られた。N-NOSEインデックスと,被験者の年齢,性別,合併症,肝機能,腎機能,尿一般定性には有意な関係性は見られなかった。

【結語】これらよりN-NOSEは非侵襲で高感度かつ簡便ながんのリスク検査となり得ることが示唆された。

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