日本消化器集団検診学会雑誌
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飲酒と血清ペプシノゲン値との関連性について
加藤 卓次東 健上田 敬郡 大裕森田 益次
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2001 年 39 巻 2 号 p. 120-126

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抄録
職場での総合検診で胃X線検査または内視鏡検査にて胃・十二指腸病変を認めない非喫煙者例を対象にして, 血清抗H. pylori抗体価および血清ペプシノゲン値を測定して, 抗H. pylori抗体の有無別に飲酒と血清ペプシノゲン値との関連性について検討した。その結果, 抗H. pylori抗体陰性例では, 血清ペプシノゲンI値および血清ペプシノゲンII値は, 飲酒者は非飲酒者に比べて有意に高値を示した。抗H. pylori抗体陽性例では, 飲酒が血清ペプシノゲンI値には変化を及ぼさず 血清ペプシノゲンH値を有意に低下させ, その結果として血清ペプシノゲンI/H比を有意に上昇させた。さらに, ペプシノゲン法陽性例は, 抗H. pylori抗体陰性例では1例も認められなかったが, 抗H. pylori抗体陽性例では飲酒者の方が非飲酒者に比べてペプシノゲン陽性率は低値であった。以上より, ペプシノゲン法によるスクリーニングでは, 血清抗H. pylori抗体を測定し, 年齢および喫煙さらには飲酒の有無をも加味して判断すべきであると考えられた。
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