抄録
早期大腸癌の注腸X線検査 (BE) と電子内視鏡検査 (ECS) による拾い上げ診断能を比較し, 見逃し例からみた大腸ルーチン検査法のあり方について考察した。拾い上げ診断能はBE96.8% (150/155病変) ECS97.2% (318/327病変) で検査法による差はみられなかった。見逃しはBE5病変, ECS9病変で両検査の発見例と見逃し例の比較でも肉眼型, 腫瘍径, 深達度に差はなく, いずれの検査法も病変部位が見逃しに大きく関与していた。見逃しはいずれも直腸, S状結腸, 上行結腸に多く, その原因は読影(BE)や観察(ECS)の不十分によるものが大半を占めていた。このため, 十分な前処置のもと, BEでは撮影法の工夫と注意深い読影, ECSではその盲点となり易い部位を意識した観察を行えば見逃しは防げると考えられた。以上から, 大腸のルーチン検査法としては, 各施設または各自が習熟した検査法であればいずれの検査法でもよいと考えられた。