日本消化器集団検診学会雑誌
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「平成12年度老人保健事業報告」から見た胃がん検診・大腸がん検診の問題点
大島 明三木 信夫河島 輝明山崎 秀男
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2002 年 40 巻 5 号 p. 401-408

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抄録

「平成12年度老人保健事業報告」に掲載されたデータにより, 個別検診と集団検診にわけて, 胃がん検診と大腸がん検診の実態を分析した。その結果, 検診受診率は, 胃がん検診で13の%, 大腸がん検診で 15.8%と依然低くとどまっていること, 個別検診方式が胃がん検診で全体の22.0%, 大腸がん検診で 41.0%を占めていること, 13大都市や中核市などの都会地では個別検診の占める割合が高いこと, 要精検率は個別検診でやや高い目であること, 精検受診率は個別検診では集団検診に比べて胃がん検診で 11.9%ポイント, 大腸がん検診で20.6%ポイントも低く, 個別検診の大腸がん検診での精検受診率は 47.6%に止まっていること, などの問題点が明らかにされた。検診受診率と精検受診率を高めて胃がん死亡・大腸がん死亡の減少という成果を挙げるためには, organized screeningに向けて実施主体の市町村と, 府県, 国, そして検診機関の密接な連携と役割分担が必須であると考える。

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