日本消化器集団検診学会雑誌
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胆嚢癌発見の契機となる超音波所見と癌の発生部位に関する検討
吉岡 律子三原 修一一二三 倫郎川口 哲中橋 栄太佐渡 美智代小山 和作長野 勝弘
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2002 年 40 巻 6 号 p. 547-553

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抄録
当センターの一次腹部超音波検査にて発見された胆嚢癌118例について検討した。超音波上の併存所見 (胆石・胆泥・胆嚢腫大・総胆管拡張) を合併している例は非合併例より胆嚢癌が存在している確率が高い。特に胆泥と胆嚢腫大は癌の合併率が高く癌が頚部に存在することが多いため, 超音波検査の際に十分に注意して胆嚢頚部を観察するとともに他の画像診断を併用した精査を施行すべきである。また, これらの併存所見は胆嚢癌が発見される以前から高率に認められており, これらの所見がみられた時はその時点で癌が発見されなくても厳重な経過観察が必要である。
胆嚢癌を高率に合併する膵胆管合流異常の発見契機となる所見の一般成人での合併率は, 胆嚢壁肥厚例は男性に多く総胆管拡張例は60歳以上の高齢者に多いことから, 合流異常症例を効率よく発見するためには“女性の胆嚢壁肥厚例”と“60歳以下の総胆管拡張例”を重点的に精査すべきと思われる。
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