日本消化器集団検診学会雑誌
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人間ドック消化器検診における高齢者の現状と問題点
塗木 冬実草野 健三重 浩子竹元 千代美Osamu KUBOZONO
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2003 年 41 巻 5 号 p. 468-474

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抄録
高齢者消化器検診における諸問題を明確にし, 今後の高齢者消化器検診の方向性を探るために, 鹿児島県厚生連健康管理センターの日帰り人間ドック過去10年間の受診者延総数100, 199人を対象とし, 胃はX線検診, 大腸は便潜血検査さらに腹部超音波検診について, 高齢者 (70歳以上, 受診者の5.1%) と, 若壮年者との比較検討を行った。その結果, 以下が問題点として挙げられた。
スクリーニング:胃は高齢者ほど検査時間が長く, 処理能力が落ちる。大腸では特に問題を認めず, 超音波では描出不良例が多い傾向にあった。精検:胃では特に問題を認めず, 大腸では精検が十分に行い得ない例が少なからずあり, また超音波についても精検精度の大きな課題が残っている。しかし, 有効性は向上していることから, 今後は慎重な配慮と技量向上に努めつつ高齢者の消化器検診を積極的に推進すべきと考えられた。
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