日本消化器集団検診学会雑誌
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【原著】内視鏡による施設内胃検診の現状と問題点
竹元 千代美伊瀬知 毅松元 淳草野 健三重 浩子塗木 冬実
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キーワード: 内視鏡胃検診, 効率, 費用
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2004 年 42 巻 3 号 p. 322-330

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抄録

胃検診の拡大・発展のためにはよりがん発見精度の高い内視鏡検診も追及する必要があるが, その拡大のためには問題点と課題を明確にして適切な対策を講じていく必要がある。今回我々は, 1997年度から2001年度までの5年間の鹿児島県厚生連健康管理センターにおける施設内胃検診 (受診者総数71,939名) の成績を中心に内視鏡検診に関する諸問題と課題を検討した。
結果: (1) 内視鏡検診の比率は上昇しつつあるものの5.6%に過ぎず, 胃がん発見率はX線検診の約3倍で, 早期がん発見率は約4倍と発見精度に大きな差があり, その差は高齢者ほど大きい。(2) 一日80人実施に必要な人員および機材, 経費等を計算すると, 内視鏡検診は多数のスタッフを要し, がん1例当りの発見費用は261万円と間接X線集検の約2倍を要した。
以上より, 内視鏡検診は処理能力が低くスタッフ確保も困難であり, 今後はスタッフ養成と精度維持システム構築が必要である。

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