日本消化器集団検診学会雑誌
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糞便中ヘリコバクターピロリ抗原検査は胃検(健)診に応用可能か?
同じ日に行った内視鏡検査およびペプシノゲンの比較より
井上 和彦谷 充理吉原 正治
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2005 年 43 巻 6 号 p. 623-629

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抄録

人間ドック受診者94例を対象に糞便中ヘリコバクターピロリ抗原検査(HpSA)を行い, 血清ペプシノゲン値, 上部消化管内視鏡検査と比較検討した。ヘリコバクターピロリ (Hp) 除菌後2例を除いた92例の中でのHpSA陽性率は59.8%であった。内視鏡的胃粘膜萎縮 (除菌後2例, 術後1例, 胃X線検査2例を除く) の検討では, HpSA陰性37例はすべてC0, c1であった。一方, HpSA陽性52例ではC0, C1が4例(7.7%), C2, C3が28例 (53.8%), O1, O2が18例 (34.6%), O3, Opが2例 (3.8%) であった。血清ペプシノゲン(PG)値はHpSA陽性例では陰性例に比し, PGIIは有意に高く, I/II比は有意に低かった。HpSA陰性例ではPG法陽性例はなかったが, HPSA陽性52例のうち17例 (32.7%) がPG法陽性であった。以上より, HpSA陰性例は萎縮のない‘健康的な胃粘膜’をしていることが示唆され, HpSAは胃検 (健) 診に応用可能と考えられた。

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