日本消化器集団検診学会雑誌
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【原著】「大腸がん検診のブレイクスルー」大腸がん検診における注腸X線検査スクリーニングのために
川崎 善幸中川 徹佐藤 和彦井村 等
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2006 年 44 巻 2 号 p. 140-150

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抄録

便潜血検査による大腸がん検診は大腸がんの発見に有効であるが, 死亡率低下の見込みは立っていない。そこで現状を打破するために新たな検診方法の確立が重要となる。内視鏡検査は死亡率低下のために必要不可欠であるが, マンパワーが不足しており, 集団を対象としたスクリーニングには向かない。そこで処理能力の高い注腸X線検査が有用ではないかと考えた。しかし注腸X線検査は, 偽陰性や偽陽性が多いと報告されており, 精度向上が必要不可欠である。そこで注腸X線検査の画像評価を行い, 二重造影の描出範囲と精度の関係について検討した。その結果, 全大腸の背側と腹側が描出されている場合は, 内視鏡検査と同等の精度が得られていたが, 描出範囲が狭くなるにつれ精度は低下していた。よって注腸X線検査でスクリーニングを行うためには、全大腸の背側と腹側を描出することが前提条件となる。そのためには画像の標準化を行い, 問題点があれば改善することが重要である。

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