2023 年 41 巻 4 号 p. 271-276
概要:ペムブロリズマブは抗PD-1抗体を用いた免疫チェックポイント阻害剤であり,近年婦人科領域においても適応範囲が広がっている.子宮内膜癌においてMSIであれば多くはTMB-Hを示すと言われ,MSS(MS-Stable)かつTMB-Hの症例は非常に稀である.本症例報告はMSSかつTMB-Hに対してペムブロリズマブが著効した一例である.
ペムブロリズマブはMSSであったとしてもTMB-HであればTMB-Lと比して奏効割率が高いため,MSIのみでなくTMBの状態を知ることは治療効果を予測するうえで重要である.子宮体癌に対してコンパニオン検査なしにペムブロリズマブとレンバチニブメシル酸塩の併用投与が保険適用となったため,婦人科領域においてMSI/TMBを調べる機会が減少されると予想される.しかしMSI/TMBの状態を知ることは臨床的に有用であるため,MSI検査やがん遺伝子パネル検査を行う上での注意点を考慮する必要がある.