2024 年 42 巻 1 号 p. 6-15
概要:本研究は卵巣癌において使用可能な分子標的治療薬の中国・四国地方での使用状況を調査し,共有することを目的とした.
初発・再発卵巣癌患者で2021年1月1日から2021年12月31日の期間に分子標的治療薬を用いた症例を対象として後方視的に検討した.
相同組換え修復欠損(Homologous Recombination Deficiency:HRD)症例の維持療法はPAOLA-1レジメン使用が58%,HR proficient(HRP)ではベバシズマブ55%,ニラパリブ45%であった.コンパニオン診断未実施例ではベバシズマブやニラパリブが選択されていた.再発症例においてはプラチナ感受性再発でポリアデノシン5'二リン酸リボースポリメラーゼ(poly ADP-ribose polymerase:PARP)阻害薬が80%,抵抗性再発ではベバシズマブが78%に使用されていた.
また,HRD検査によってtumor BRCAバリアントが判明した27例中25例に遺伝カウンセリングまたは遺伝学的検査が行われており,本検査がHBOC診療への足掛かりとして役立てられている状況が窺えた.