日本産科婦人科内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5746
ISSN-L : 1884-9938
不妊症患者における子宮鏡検査の臨床統計
内田 暁子堀内 功伊藤 善啓山本 尚子小森 慎二香山 浩二
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 21 巻 2 号 p. 326-328

詳細
抄録
平成8年より平成17年5月までの9年間に子宮鏡検査 (hysterofiberscope: HF) を実施した1355症例のうち特に不妊症症例を中心に臨床統計を行いその結果に対して考察を行った。その適応は、不妊症760例 (56.1%) 、体外受精胚移植 (in vitro fertilization - embryo transfer: IVF-ET) 治療実施前の検査110例 (8.1%) 、不育症検査75例 (5.5%) であった。
不妊症もしくはIVF-ET治療前検査を適応として子宮鏡検査を実施した870例の内、何らかの異常所見が認められた症例は188例 (21.6%) であった。異常所見の内訳は、子宮内膜ポリープが133例 (70.7%) 、子宮内腔の癒着が23例 (12.2%) 、子宮内腔の不整、隆起が22例 (11.7%) であった。IVF-ET治療実施前に子宮鏡検査が施行された239症例の内、63例 (26.4%) に異常所見が認められその内訳は、子宮内膜ポリープ38例 (60.3%) 、中隔/弓状子宮8例 (12.7%) 、子宮粘膜下筋腫7例 (11.1%) 、癒着6例 (9.5%) 、であった。
IVF-ET治療前の検査にて子宮卵管造影検査 (hysterosalpingography: HSG) で子宮内腔正常とされた162例のうち、子宮鏡検査では約26%に異常が認められた。不妊症検査においてHSGでの異常の有無に関わらず、HFを実施することは重要であると考えられた。
著者関連情報
© 日本産科婦人科内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top