抄録
本研究では,建築家が住宅を設計する際の外部環境に対する意識を探るべく,平面図を対象として住宅内外の空間構成を分析する.とくに,住宅内部とそれを取り巻く外部環境との間に存在する専有的な外部空間を「介在外部空間」と位置づけ,31戸の住宅に存する42の介在外部空間ついて,その図的特徴を数値化し,定量的に解析することにより類型化を試みた.その結果として,以下のことを明らかとした.(1)介在外部空間を持つ住宅の空間構成は,「領域性」,「一室性」,「規模性」,「内包性」,「接続性」と呼べる5つの因子によって決定づけられる.(2)介在外部空間には,「主室付属型」,「個室接続型」,「内包型」,「一室拡張型」,「準主室型」と呼べる5つの類型が見出せる.(3)建築家の住宅作品における介在外部空間は,内部空間の構成に多様性をもたらすと同時に,それ自体が内部と対等な居室性を有する領域として計画されたものであると考えられる.