図学研究
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研究論文
走行中の自転車から識別可能な案内標識の研究
―都心幹線道路を例として―
増田 聡横山 ゆりか舘 知宏
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2012 年 46 巻 3 号 p. 3-9

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抄録

本研究では,フォトリアリスティックなCG 表現を用いて,現実に近い背景刺激の中で,大きさ・色・設置高さを変更した自転車標識の知覚実験を行い,発見距離・可読距離・感覚指標を記録した.分析の結果,以下の知見が得られた.1)都心部を時速15km で走行する場合,大きさ1450mm×300mm,文字サイズ100mm,設置高さ2.5m,国基準の青地に白文字の標識には,58m 程度手前で気付き,12m 程度手前で判読できる.2)一般的な歩行者用標識の文字は,走行時の自転車用標識としては大きさが不十分である.3)判読しやすい配色とされる黄と紺の組み合わせに対して,青と白の組み合わせは可読距離に有意差はなかった.4)国基準の青色は,発見距離が日影の変化の影響を受けやすいが,色相を60度赤色側に変えた青紫色は,日影の変化の影響を受けにくい.5)設置高さ2.5m と3.0m の標識では,発見距離・可読距離・感覚指標に差はなかった.従って,より焦点に近く無理なく目に入りやすい2.5m の方が適切である.

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© 2012 日本図学会
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