抄録
著者は,投影面,投影線及び投影対象物を認識し易い様に設定する指針を目指して視覚認識調査を実施している.本研究では,平成14年度に実施した調査結果と,平成28年度に実施した調査結果を比較して,時代の変化と共に注目している視覚認識の指向性が変化するかどうかを確認した.その結果,特に不規則配置調査の仰角φに関して,細かい違いが得点分布の形状やばらつき等に関して幾つか認められたが,大きな違いは認められなかった.被験者も厳密には同一ではない事,調査方法が仰角φおよび水平角θとも15°刻みの図を用いている事等から,本質的には注目している視覚認識の指向性の年代差は無い可能性が極めて高い.また,平成14年度の調査結果も平成28年度の調査結果も,正規分布に概ね乗った.即ち,注目している視覚認識の指向性は自然な現象に支配されている可能性が示唆された.