図学研究
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掛谷の針問題から見る図学と解析学とのつながり
齋藤 洋樹
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2018 年 52 巻 2 号 p. 3-

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抄録
 掛谷問題とは,面積0でありながら任意の方向の単位線分を含む不思議な集合(掛谷集合と呼ぶ)のHausdorff次元を問う問題である.この問題は2次元で解決されており,3次元以上では部分的な解決しかなされていない.本報告では最初に,掛谷集合のもととなった掛谷の針問題「単位線分を平面上で1回転させるのに必要な最小の面積はいくらか」という有名な問題とその解答を紹介する.これらは古くから知られる幾何の問題であるが,近年,掛谷問題が現代解析学,特にFourier解析に関する分野(実解析・調和解析学と呼ばれる)の諸問題と関わっていることがわかってきた.本報告の後半でこの諸問題に対する簡単な概説をする.
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© 2018 日本図学会
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