図学研究
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無限連鎖定理に関する考察
蛭子井 博孝
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2000 年 34 巻 1 号 p. 29-36

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抄録
古典幾何学の中には, 三角形や四角形を用いた共線定理や共点定理などが沢山ある.そのなかで, その定理の構造を保ちながら, それを構成する直線の数を増していったり, 三角形を, 四角形, 五角形と拡張していっても成立する定理が, 数少ないがある.これらは, その数的拡張が無限にできるので無限連鎖定理と呼ぶことにする.クリフォード, Griffiths, Coolidgeなどは, 外心, 重心, 九点円, 垂心の定理を無限連鎖化している.それに習って, 我々は, 新しくシムソンの定理と直極点の定理を無限連鎖化した.そして, そのラフな証明を見つけているので, それに触れる.さらに, 三角柱の定理と名付けた定理の予想として無限連鎖化を考えた.
さて, これらの図であるが, 連鎖を多くすると, 要素の数が2のn乗のオーダーで複雑になるが, 定理3から5の3つの定理については, 対称性を利用して, 連鎖5, 7の場合を描いた.その際, 数式処理ソフトのMAPLEVを用いた.また, 外心の連鎖とその他の3つの定理に関しては, CADでその図を描いた.これらの定理と図が, 図形科学の発展の一助となれば幸いである.
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