2002 年 36 巻 Supplement 号 p. 29-32
空間の広がり感を考察する際に、ある室が他の室とどれほどつながっているかということは、大きな影響を与えると考えられる。これまで、室としての空間的な広がりや窓の大きさ、景観を対象とした研究は多数報告されてきたが、室同士のつながりについて言及したものは少ない。そこで本研究では、室内の広がり感についての一つの検討として、室と室の視線のつながりを基にした可視連結係数と空間物理量の関係の分析を狭小住宅を事例として行い、室内空間の広がりに対する吹抜けの有効性の検証を行った。分析の流れとしては、分析資料の選定をした後、各室間の視線のつながりの有無を調べ、各住宅における視線のつながりの平均値の算出を行った。この値と各室の面積を基にした可視連結係数を算出した後、可視連結係数と建築空間の基本物理量との相関分析を行った。この結果、吹抜け空間の導入は可視連結係数の値をコントロールする上で有効であることが定量的に示された。