抄録
小論は美術系の大学などにおいて, 基礎的な視覚造形教育として行われきた教育内容を, 「造形要素の組み合わせによる造形メソッド」という視座により系統的に整理, 分析を行ったものである.ここで述べる「造形要素の組み合わせによる造形メソッド」とは, 色・形・コンポジション・テクスチュアといった基本的な造形要素と, それに連なる下位の造形要素を, 様々に組み合わせることにより試行錯誤して制作する造形方法である.この造形メソッドを用いた基礎造形教育は, 単純な造形要素から授業で行い, その組み合わせから複雑な造形へと発展させる階層型のカリキュラムとなっており, 順序よく系統的に造形要素について理解できるよう設計されている.そして, このカリキュラムによって実際の授業を行い, 学習効果が上がることを検証した.