抄録
<目的>本研究は,精神医療施設における入院患者の患者動態について,入院前後の環境移行を含めて分析し,精神医療施設の病棟構成とこれからの回復支援環境について考察することを目的とする。
<方法>精神疾患患者の退院促進に積極的に取り組んでいる2つの医療施設において,患者記録の転記調査を実施した。
<結果>2施設計11病棟の入院前・退院後の生活場所,病棟別平均入院期間をもとにそれぞれの病棟を退院した患者の特徴を整理した。退院患者の入院回数,入院期間,入院前後の生活場所をもとに類型化を行い,それぞれ7つの類型に分類しその特徴を整理した。両施設に共通する4つの類型を析出した。
<結論>自宅から入院して自宅に退院する急性期の受療行動のみならず,長期入院後に自宅以外の場所へ生活の場所を移す患者や,自宅以外場所からの入退院を繰り返す患者を含めた包括的な生活環境として,精神疾患患者の回復支援環境を考えていく必要性を示した。