民族衛生
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いきこらえテストの研究
(III) いきこらえの練習効果
広田 公一
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1955 年 22 巻 2-3 号 p. 63-71,A4

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抄録

1)いきこらえを一日おきに反復実施した場合の練習効果を,いきこらえ時間・胸腔内呼吸運動開始時間・呼吸量並びに肺胞気の組成の変化から検討した.
2)いきこらえ時間は,反復練習の初期には延長を示し,4~8回の反復回数で略々一定になり,9ヶ月いきこらえを休止した後も,いきこらえ時間の系統的短縮を認めない.
3)胸腔内呼吸運動開始時間は,初回から習熟期,9ヶ月休止後に至るまで略々一定の値を示す.
4)胸腔内呼吸運動をおこなうのに,至適の吸気量があり,いきこらえを反復する間に,被検者はこの吸気量に調節するようになる.
5)いきこらえ中絶時の肺胞気の組成は,いきこらえ時間が延長するに従つてCO2濃度高く,O2濃度低くなる.9ヶ月休止後でもいきこらえ中絶時の肺胞CO2濃度の低下をきたさない.
6)いきこらえ時間延長の原因としては,意志による持ちこたえが長くなることが最も大きく関与している.このほか,いきこらえ練習の初期における技術の向上も無視できない.いきこらえ反復の経過中,呼吸中枢の興奮性の低下がおこるかどうか明瞭でない.
7)一度習熟すれば,かなり長期に亘つていきこらえを休止しても,いきこらえ時間は必ずしも短縮しない.それはいきこらえ時間の短縮をきたす本質的な原因とはならない.

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