民族衛生
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体位血圧反射の分析的研究
-心臓影の観察-
古畑 宏
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1956 年 22 巻 4 号 p. 102-110,A3

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抄録

体位血圧反射の成績を支配する奏効性因子には,心臓と血管系とがあるが,本研究では心臓に重点をおいてしらべた.安靜立位,臥位,立位と姿勢を変換するとき,レントゲン透視及び写真から,25名の成人につき心臓横径及び搏動幅を逐時的測定を行い,あわせて,体位変換時の血圧を測定した.その結果,次の事が知られた.
(1)安靜立位から臥位にするとき,心臓横径及び搏動幅の増大,臥位から再び立位にするとき,横径及び搏動幅の減少が見られた.とくに搏動幅は臥位から立位へ変換直後,安靜立位の値よりも低下し,その後次第に安靜立位の水準に近づく.
(2)体位血圧反射の調整の良い群と,不良の群とに分けて観察するとき,調整の良い群では,収縮期,弛緩期の横径はほぼ平行して変化し,臥位から立位変換直後の搏動幅の減少は軽度で,その復旧もすみやかである.これに対し調整不良の群では,収縮期,弛緩期の横径は必らずしも平行せず,旦つ臥位から立位変換直後の搏動幅の減少は大きく,その復旧がおくれる.
(3)これらの事から,体位血圧反射の成績'を支配するものとして心臓搏出量が大きい役割をもつていることを推定した.

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