民族衛生
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同一学年児童・生徒に於ける発育・体力・知能の差異について
第2報地域並びに生活程度による差異
針生 敏雄
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1960 年 26 巻 1 号 p. 86-96,A8

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抄録

仙台市内の小中学校をその所在する地域によつて中央部・中間部・周辺部等の地区に分け,又家庭の生活程度によつて上・中・下の3層に区分して11才(小学校6学年)及び14才(中学校3学年)の児童生徒について,身長・体重・胸囲の身体発育,走力・跳力・投力・懸垂力等の運動能力及び知能指数について比較検討した.
1)地域別比較においては,発育殊に身長発育は一般に市中央部に優れ,周辺部に劣る傾向を示している.体重はほぼ身長発育に伴うが,14才女に於ては周辺部が優れている.胸囲は男女とも概して周辺部に大である傾向を示す.
2)地域別にみた児童生徒の走・跳・投力等の運動能力は中央部と周辺部に優れ,中間部地区比劣る傾向を示す.14才男女,殊に女に於ては周辺部が特に優れている.
3)知能指数は中央部児童生徒に優れ,周辺部児童生徒に劣るが,特に14才男女に於て其の差が顕著である.
4)生活程度別児童生徒の身長・体重・胸囲の身体発育は概して生活程度上位群に良く,下位群に劣るが,その差は特に身長発育に顕著である.身長・体重・胸囲の身体発育の生活程度上位・中位・下位群間における差は女11才に於ては明かであるが女14才では明かでなくなる.
5)生活程度別にみた児童生徒の走・跳・投力等の運動能力も概して生活程度上位群に良く,下位群に劣る傾向を示すが,身体発育に於ける程顕著ではない.
6)生活程度別にみた上位・中位・下位群の児童生徒の知能指数は上位群に優れ,下位群に劣る.此の傾向は女より男に顕著である.

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