1966 年 32 巻 4 号 p. 115-121
[抄録]Proportional Mortality Indicatorが地域の健康水準の指標たりうるか否かを検討した・昭和35年の統計資料を用いて岩手県各保健所管内別にProportional Mortaiity Indicatorを求め,これと各地域の粗死亡率,訂正死亡率,0才平均余命,長寿者率などとの相関をみた.Proportional Mortality Indicatorと長寿者率との間にはかなり高い相関関係が認められ,両指標間の相関係数は男子にあつて+0.4658,女子にあつては+0 .7374であつた. 地域人口の年令構成は,過去における死亡率および出生率の所産というよりも,むしろ人口の都市集中など社会移動の所産とみなされる. これらのことから,Proportional Mortality Indicatorは,国際間の健康水準の比較には有用な指標であろうが,これをそのまま国内における地域の健康水準の指標として用いてよいか否かにはなお検討の余地がある.