抄録
奄美大島,徳之島,沖縄のそれぞれにおける1977~1984年の8年間に発生したハブ咬傷の疫学像を比較し,以下の結果を得た. 1)8年間の咬傷発生数の推移をみると,徳之島と沖縄では減少傾向がみられたが,奄美大島ではほぼ一定の推移を示した. 2)人口1,000人当りの咬傷率には三地域間で大差があるが,農業人口1,000人当り及び農地面積100haあたりの咬傷率の地域間の差は減少している. 3)咬傷発生数の月別分布には地域差がみられ,咬傷のピークに,奄美大島と徳之島では6月,沖縄では10月にみられた. 4)気温,湿度の上昇と共に咬傷発生数は増加するが,気温の場合,24~26℃ でピークに達し,それ以上では再び減少した. 5)年間を通した場合,毎日の咬傷発生数の頻度分布は負の二項分布に適合したが,月別にみるとポワソン分布に適合する傾向が認められた. 6)一人当りの受傷回数の頻度分布を0項の欠けたポワソン分布とみなして推定した「咬傷危険人口」は,奄美大島,徳之島,沖縄で各々,12,787,15,873,9,877であり,全人口に対してそれぞれ,15%,46%,1%に相当した.