植物工場学会誌
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天然型アブシジン酸とジベレリンの併用処理がシンビジウムの生育, 開花および体内窒素, リン, カリウムの含量に及ぼす影響
鄭 新淑禿 泰雄松井 鋳一郎
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1998 年 10 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

シンビジウムの新シュートの発育前の冬期と発育期の夏期にSABAとGA3の併用散布処理を行った.生育に及ぼす処理効果は地下部に対して大きく, 処理により根数が有意に増大した他, 無処理区の根がある程度褐色化していたのに対して処理区の方は白色であることが観察された.地上部では, 葉数, 生体重も増大し, 株全体の発育が促進された.この効果は, 夏期処理の方が高かった.
Cym. Miss Taipeiの夏期開花はSABA 20mg/lとGA3 20mg/lの冬期処理で3週間以上早まり, Cym. Karen Sato 'Shurei'でも夏期処理で開花が2週間早まった.さらにいずれの品種の開花率も高まった.
処理により, 葉中の窒素量は減少し, カリウム量は有意に増大した.根においては窒素量とリン量が増加した.偽球茎において, 窒素量, リン量, カリウム量のいずれも増大した.
以上, SABAとGA3の併用処理はシンビジウムの根や地上部の発育を促進させ, 開花時期の促進と開花率を向上させた.本実験結果からシンビジウム栽培へのSABAとGA3の併用処理の応用の可能性が示唆された.

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© 日本生物環境工学会
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