植物工場学会誌
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花茎可食型Brassica rapa (AA) とB. oleracea (CC) との種間雑種 (AACC, AAC) における形質の遺伝および実用性
張 斌柿原 文香加藤 正弘
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2002 年 14 巻 2 号 p. 92-99

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抄録

花茎可食型を示すBrassica rarp (2n=20 AA) とB. oleracea (2n=18 CC) との複二倍体系統 (2n=38 AACC) および二基三倍体系統 (2n=29 AAC) について, 種子稔性, 生育期間, 収量および形態的な形質などを調査し, 施設栽培用の花茎可食型野菜育成の可能性を検討した.複二倍体系統の種子稔性は十分とはまだ言えないものの, 比較的高い種子稔性と自家不和合性を示す系統があり, これらは一代雑種作出の親系統として利用できる.また, 複二倍体系統にAゲノム種系統を戻し交配した場合, 高い種子稔性を示し, 二基三倍体系統は複二倍体系統より利用価値が高いと考えられる.複二倍体系統と二基三倍体系統の生育期間は二倍体系統に比べ遅れる傾向が見られたが, より生育期間の短いAゲノム種系統とCゲノム種系統を交配親に用いれば, 早生および中生系統が育成できると考えられる.一部の複二倍体系統と二基三倍体系統では栄養生長の優勢が認められ, 特に全重は著しい優勢的効果を示した.しかし, 可食率は両親より低くなった.二基三倍体系統は株型が小さく, 複二倍体系統より密植に適し, 最適な栽植密度の条件下では, 栽培面積当たりの花茎収量の増加および可食率の向上が見られた.今後, 種間複二倍体系統について, 稔性, 生育期間, 収量および形態形質の選抜によって純化をはかり, これを親とした一代雑種複二倍体および二基三倍体の実用性品種の育成が期待できる.

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© 日本生物環境工学会
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