抄録
本稿は、2001年5月、東京大学本郷キャンパスにて開催された第27回日本保健医療社会学会大会において、「21世紀健康社会学の理論と方法」と題して行った大会長講演をベースに書き改めたものである。本稿では、まず、健康・病気と保健・医療の社会学としての健康社会学とはそもそも20世紀後半においてどういう学問として生まれ発展してきたのかについて概説した。次に、日本の健康社会学の有力な一角であり、約30年の伝統を引き継ぐ東京大学大学院医学系研究科健康社会学専門分野での最近の研究と教育を紹介した。以上を通して、日本の健康社会学の、21世紀に継承・発展させるべき学問的性格と理論と方法について示した。