保健医療社会学論集
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誤薬事故を防止するためにII : 防護機能に影響するエラー誘発条件
関 由起子山崎 喜比古
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2005 年 16 巻 1 号 p. 37-49

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抄録

本研究は注射業務の防護が機能不全となる条件を明らかにするために、3病院12病棟の看護師を対象に41例のエラーに関する面接調査を行い、防護機能毎にエラー誘発条件を検討した。その結果、防護機能の「指示内容と各段階での作業内容との照合確認」は、業務過多による時間切迫、業務中断、文字情報によるコミュニケーションの不備、知識・経験不足、「次の段階における担当者への業務終了合図と情報伝達」は、文字情報、及び職種間のコミュニケーションの不備、「適切な作業行為の保証」は、業務過多による時間切迫、知識・経験不足、実施困難な業務内容、責任の所在が不明確な業務、患者の非協力・協力不能、「指示内容の妥当性の検討」は、職種間のコミュニケーション不足、知識・経験不足というエラー誘発条件が存在した。すべての防護が機能することが事故防止には必須であり、事故防止対策には防護機能毎に応じたエラー誘発条件への対応が重要であることが明らかになった。

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© 2005 日本保健医療社会学会
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