抄録
本報では、まず、東日本大震災直後から被災自治体で働く保健師に求められた活動内容を整理した。その上で、仕事へのポジティブな心理状態である「ワーク・エンゲイジメント」、専門職の仕事のあり方を問う「職業的アイデンティティ」、分野のテーマや関心や問題、熱意などを共有し相互交流を行い知識や技能を深める集団である「実践コミュニティ」の3つの概念を援用し、被災地における保健師活動の意義と保健医療福祉職が生き生き働き続けるための要件を考察した。示唆された生き生き働き続けるための要件とは、ワーク・エンゲイジメントを高めるために必要な仕事の資源となる「実践コミュニティ」の存在と、「職業的アイデンティティ」を形成し発達させ続けることである。