本論文は、医師が診療において医療記録を「読み上げ」たり「読」んだり「見」たりすることで組織される様々な実践の組織のされ方を分析する。視線の向きや身体の向きなど医師の身体的振る舞いの諸特徴は、医療記録を「読」んだり「見」たりすることで産出される行為を構成する重要な資源である。本論文では医師と患者が医療記録を資源として参照しながら、どのように適切なタイミングで発話をデザインしているのかに着目することで、医療記録が患者についての記録であるという明白な事実は参与者たちにとってどのようなことを意味するのかを実践の分析をもとに明らかにしていく。