昭和学士会雑誌
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症例報告
上顎両側犬歯および下顎両側第一小臼歯抜去により治療を行った成人叢生症例
片岡 洋子中納 治久槇 宏太郎宮澤 康山本 松男
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2014 年 74 巻 4 号 p. 454-466

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抄録

矯正治療における便宜抜歯の第一選択は第一小臼歯だが,歯や歯周組織の優劣を精査し決定する必要がある.本症例は,初診時年齢34歳10か月の女性で,叢生を主訴に来院した.上顎両側犬歯の歯肉退縮,軽度の慢性歯周炎,叢生を伴うAngle I級の骨格性下顎前突と診断した.歯・顎顔面用コーンビームCT検査にて歯槽骨を精査し,上顎両側犬歯と下顎両側第一小臼歯を抜去した.マルチブラケット装置を用い良好な咬合関係が得られたが,上顎第一小臼歯の頬側歯槽骨は菲薄であった.成人の矯正治療で便宜抜歯部位を選択する際は,初診時の歯槽骨の三次元的形態の把握に加え,抜歯後の歯槽骨形態を十分に予測した上で決定することが重要である.

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© 2014 昭和大学学士会
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