昭和学士会雑誌
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最新号
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特集:富士吉田教育部における初年次学部連携教育
原著
  • 〜CT画像を用いた個体別有限要素解析による力学状態の評価〜
    諸星 明湖, 西川 洋生, 臼井 勇樹, 新妻 学, 池田 純, 川崎 恵吉, 稲垣 克記, 松本 一磨, 木村 仁, 伊能 教夫
    2022 年 82 巻 5 号 p. 371-377
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    人工肘関節置換術は,肘関節の除痛及び機能再建に有用な手段のひとつである.Kudo人工肘関節は,日本及びに欧州で最も広く使用されている表面置換型人工肘関節であり良好な長期成績が報告されている.しかし,時として尺骨側コンポーネントにゆるみが生じ再手術が必要になる事がある.これは上腕骨側よりも尺骨側で骨に対する負荷が大きい可能性が示唆されるが,尺骨コンポーネント周囲の応力に関して生体力学的評価は十分にされていない.今回,術前計画,手術手技,患者の術後指導の参考とすることを目的に,Kudo人工肘関節を対象とし,CT画像に基づく個体別有限要素モデルを用いて人工肘関節の尺骨コンポーネント周囲の骨に生じる応力を有限要素法を用いて測定する新しい手法を用いて本研究を行った.患者のCT画像を元にコンピューター上で人工肘関節を挿入した3D CTモデルを作成し,そこに筋骨格モデルシミュレーションシステムを用いて算出した筋力及び関節反力を境界条件として有限要素解析を行った.尺骨鉤状突起内側にもっとも高い応力とひずみが生じた.人工肘関節術後に一般的に得られる可動域である肘屈曲30°から130°の範囲では3,000µ以上のひずみを生じることはなかった.至適位置にインプラントを設置した場合,Kudo人工肘関節は生体力学的観点からも良好な結果が得られた.今後ステムの挿入角度など尺骨コンポーネント周囲の骨の応力に変化を生じさせ得るさまざまな要因についての解析・検証が必要と考えられた.
  • 福原 大祐, 石川 大樹, 齋藤 佑樹, 平田 裕也, 岡村 博輝, 前田 慎太郎, 宮崎 章
    2022 年 82 巻 5 号 p. 378-387
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    重度の若年性の二次性外側型変形性膝関節症(以下,二次性外側型膝OA)の中でも半月板の後節部が残存している症例もあり,我々は,残存している半月板を切除せずに欠損している部分に自家腱を移植する半月板部分再建術(以下,PMR)を実臨床で行ってきた.PMRでは移植腱固定のために骨孔を作製するが,関節面に作製した骨孔開口部付近の移植腱損傷が散見された.そのため膝OA予防のためのPMRの術式について①移植腱の生着,②脛骨軟骨の損傷と骨棘形成予防,③大腿軟骨の軟骨損傷と骨棘形成予防し得る至適骨孔位置を検討する必要性を痛感した.そこで家兎のPMRモデルにて骨孔位置の差異が移植腱の生着と脛骨軟骨の損傷と骨棘形成に及ぼす影響を調査する実験を行ったところ,関節面に骨孔を作製するよりも関節面外側に作製する方が移植腱の生着と脛骨軟骨の損傷と骨棘形成を予防できた(昭和学士会誌2019;79:177-185).続いて本研究では,PMRモデルに対する大腿軟骨の損傷と骨棘形成について組織学的に評価しPMRの至適骨孔位置をさらに検討した.方法は家兎15羽30膝を用い,両膝の内側半月板を部分欠損させ,欠損部に骨孔を介して移植腱を固定した.その際に骨孔開口部を右膝は荷重部の脛骨関節面に作製し関節面群とし,左膝は非荷重部の脛骨関節面外側に作製し関節面外群とした.術後2,4,8,12,18週で3羽ずつ屠殺し,大腿軟骨の損傷と骨棘形成について組織学的に両膝を比較検討した.結果,両群ともに術後2週から軽度の軟骨損傷を認め,術後18週まで緩徐に進行し両群に差はなかった.骨棘は術後8週以降には両群ともに形成所見を有し群間差がなくなった.以上より,移植健固定のために脛骨関節面外に骨孔を作製する利点は,本研究で検討した大腿軟骨の損傷や骨棘形成に対する予防効果より,先行研究での移植腱の生着や脛骨軟骨の損傷予防効果にあると想定した.現時点ではPMRの骨孔は関節面よりも関節面外に作製した方が膝OAの進行を遅らせることができると結論付けた.しかし,PMRでも十分な膝OA予防効果とは言い切れず更なる研究の必要がある.
  • 吉泉 絵理, 三村 貴志, 小林 友紀, 河本 貴之, 長島 稔, 宮上 哲, 石川 哲也, 小貫 麻美子, 関沢 明彦, 松本 光司
    2022 年 82 巻 5 号 p. 388-394
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    胎盤遺残の手術加療において明確な治療指針はない.今回胎盤付着部の筋層菲薄化,胎盤への血流の有無で術式を選択する治療指針案の妥当性を検討した.2015年12月から2020年12月に当院でMRI検査を行い,胎盤遺残の診断で手術を施行した症例を対象とし,指針案に基づいた「想定術式」と実際に施行された術式との比較検討を後方視的に行った.指針案による術式決定基準として,菲薄化陽性(厚さ<5mm)例では血流に関わらず腹腔鏡併用TCR (Trans Cervical Resection),菲薄化陰性で血流あり症例は腹腔鏡非併用TCR(以降,TCR),共にない症例はD&C (Dilation and curettage)を選択した.調査期間内に対象症例は12例であった.予定術式は腹腔鏡併用TCR 1例,TCR 8例,D&C 3例,うち10例は完遂したが,残り2例で術式変更を要し,1例はTCRで子宮穿孔し腹腔鏡手術へ移行,1例はD&Cで摘出困難なためTCRへ移行した.指針案に基づく想定術式による分類は腹腔鏡併用TCR 1例,TCR 7例,D&C 4例であった.実際の施行術式と同一だったのは9/12例,相違のあった3例中,D&C想定の2例は主治医判断でTCRを選択し,施行術式もTCRであった.想定術式がTCRの1例では,子宮穿孔により腹腔鏡手術に移行した.穿孔の要因として双角子宮,胎盤卵管角周囲付着,術中盲目的操作が考えられた.子宮奇形や付着部位異常例は穿孔リスクが高いとされるため,指針案を一部改良した.今回われわれが提唱した治療指針案は,検討の結果実際の施行術式や転帰に矛盾せず,概ね適正であったと考える.今後は指針案が適切に運用可能かを前向きに検証していく.
症例報告
  • 河合 延啓, 渡邊 佳孝, 阿部 祥英, 曽我 恭司, 梅田 陽, 池田 裕一
    2022 年 82 巻 5 号 p. 395-398
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    血友病Aは血液凝固第Ⅷ因子の質的,量的異常に起因するX染色体連鎖劣性遺伝形式の先天性出血性疾患である.今回,口蓋扁桃摘出術後の出血を契機に軽症血友病Aと診断された男児例を経験した.手術後の出血を予測するには,検査値よりも出血に関連する既往歴の聴取が重要だったことが示唆され,報告する.3歳の男児である.いびき・無呼吸のため両側口蓋扁桃摘出術・アデノイド切除術を施行された.術前の凝固機能検査は2回施行され,APTTは34.9秒,45.6秒で介入を要する所見と判断されなかった.手術は問題なく行われたが,術後3日目に出血を認め,緊急止血術が行われた.術後6日に再出血を認め,緊急止血術でも止血困難であり,全身麻酔下で人工呼吸器管理と輸血を要した.その後の検査でAPTTの有意な延長はなかったものの,第Ⅷ因子活性の低下(26.3%)があり,血友病Aと診断した.術後出血後の詳細な問診で,月齢9に上唇小帯損傷に対する縫合で血腫が生じたことが判明した.本症例は計3回検査されたAPTTは1回のみ45.6秒と軽度の延長があった.手術前の詳細な問診で出血に関連する既往歴が聴取されていれば,手術前に血友病が鑑別に挙がり,術後出血を未然に防げた可能性がある.止血異常を示唆する既往歴のある男児は,APTTに延長が無くても軽症血友病に罹患している可能性があり,注意が必要である.
  • 鮫島 舞, 石川 琢也, 山下 恒聖, 小林 梢
    2022 年 82 巻 5 号 p. 399-405
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    川崎病は亜急性期に関節症状を呈すると,若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:sJIA)などとの鑑別が必要となり,診断が困難となる.今回われわれは亜急性期に膝関節炎を合併し,川崎病の診断が困難であった症例を経験した.各種培養検査とMRI画像所見より化膿性関節炎を否定して,サイトカインプロファイルでIL-6が高値を示し,フェリチンの上昇を認めないことから川崎病と診断ができた.川崎病に合併した関節炎とsJIAとの鑑別ではサイトカイン値の測定が有用であるが,特殊検査のため通常実施は行えず,代用として血清フェリチン値の測定が簡便に利用できる.
  • 髙田 純子
    2022 年 82 巻 5 号 p. 406-414
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    過去10年間の本邦における膠原病看護実践領域における原著論文・総説をレビューし,現在の研究の動向と今後の課題を明らかにすることとした.「膠原病」「自己免疫疾患」「看護」「全身性エリテマトーデス」「強皮症」「皮膚筋炎」「関節リウマチ」「血管炎」「混合性結合組織病」「シェーグレン症候群」「ベーチェット病」「成人スティル病」を検索用語として文献検索した.「看護の課題」を抽出するという視点で対象となった文献を熟読し「患者の経験・生活状況」「セルフケア」「困難」「心理・認知」「看護」について述べている部分を取り出した.主疾患が異なり膠原病について言及されていない研究など本研究の目的に合わない計63件を除外し,25件を分析対象とした.対象は自己免疫性疾患2件,SLE4件,関節リウマチ19件であった.「患者の経験・生活状況」「セルフケア」「困難」「心理・認知」では,外見の変化への戸惑い,経済・役割の軋轢,疾患と治療両方から来る不安,先行きに対する不安などが示されていた.「看護」では,ライフイベントに合わせた生活調整の支援,見通しを示すこと,家族を含めた社会資源の調整,多職種との連携,継続看護の必要性について述べられていた.慢性疾患として病気と一生付き合っていく中での病期における対象理解の不足,療養行動やQOLに関連する量的研究はまだ少なく今後の課題が示唆された.
  • 田口 智博, 中納 治久, 槇 宏太郎
    2022 年 82 巻 5 号 p. 415-424
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    永久歯の先天性欠如や歯冠の形態異常は歯列咬合異常や審美障害の原因となる.そのような歯を有する場合,矯正治療単独や補綴治療単独で改善を図ったとしても,機能的にも審美的にも満足な結果を得ることは難しい.一方で矯正治療と補綴治療を合わせて治療計画を立案し実行することで,治療全体の質を高めることができる.今回われわれは,先天性欠如歯と矮小歯を有する患者に矯正治療に補綴治療を併用することにより,機能的かつ審美的に満足しうる結果が得られたので報告する.本症例は初診時年齢20歳4か月の女性で,上顎前歯部の空隙と左側大臼歯部の咬合の改善を主訴としていた.上顎右側側切歯および下顎左側第二小臼歯の先天性欠如,上顎左側側切歯の矮小,下顎左側第一小臼歯の遠心傾斜と下顎左側第一大臼歯の近心傾斜を伴う骨格性下顎前突症例であった.治療方針は補綴治療担当医と連携を図りながら決定した.セファロ分析,軟組織および歯槽骨の状態,完成する咬合状態の予測から,矯正治療は非抜歯治療とし,マルチブラケット装置による歯の排列と空隙のコントロールを行った.歯の先天性欠如部ならびに矮小歯近遠心に補綴治療のためのスペースを作るように排列を行い,最終的にインプラントによる欠損部補綴と矮小歯の歯冠補綴を行うことにより空隙の閉鎖と咬合関係の確立を図った.その結果,大臼歯のⅠ級関係が確立した.同時に,中切歯の前方運動時のガイドと犬歯の側方運動時のガイドが得られたことにより,下顎の前・側方運動時の臼歯部および非作業側での咬頭干渉は見られなかった.また,空隙は補綴治療により閉鎖され,顔面と歯列の正中線は一致し,左右対称に歯が排列されたことにより,審美的かつ機能的な咬合が得られた.
  • 柴田 悠樹, 江口 潤一, 篠原 浩樹, 角 一弥, 野村 憲弘, 牛尾 純, 松尾 海, 出口 義雄, 井上 晴洋, 九島 巳樹, 伊藤 ...
    2022 年 82 巻 5 号 p. 425-432
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    症例は16歳男性で,中学入学時の学校健診で肝障害を指摘されていた.中学卒業時に近医小児科での血液検査でAST 54U/l,ALT 146U/l,ALP 904U/l,LAP 327U/lと肝胆道系酵素上昇あり当科に紹介された.初診時ウイルス肝炎マーカーはすべて陰性で,IgG 2,292mg/dl,IgG4 141mg/dl,抗核抗体320倍だった.腹部超音波検査,MRCPで肝門部中心の肝外,肝内胆管狭窄・拡張を認めた.診断目的で狭窄・拡張した肝門部肝内胆管付近の経皮的肝生検を行い,病理所見では胆管周囲のリンパ球及び形質細胞浸潤,及び花筵状線維化を認めた.この線維化領域でIgG4陽性細胞を多数認めた.IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の確定診断でUDCA 600mgを先行し,PSL 40mg/body(0.6mg/kg/body)で免疫抑制療法を開始した.PSL開始4週目頃から肝胆道系酵素は改善傾向となり,2か月経過した時点で正常化した.若年男子に発症した胆管狭窄を伴う肝障害では一般に原発性硬化性胆管炎(PSC)を疑うが,本症例では血清IgG4高値であり肝門部に限局した胆管狭窄であったためIgG4-SCを疑った.本症例の診断にはERCP下の胆管生検に比較し組織量が多く採取可能である経皮的肝門部肝生検で得た病理組織所見がIgG4-SCの確定診断に重要であった.
講演
短報
  • 角田 ゆう子, 佐々木 晶子
    2022 年 82 巻 5 号 p. 440-446
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー
    幹細胞マーカーであるCD44を用いてBRCA1変異乳癌培養細胞の癌幹細胞のmicro RNA(miRNA)発現と抗癌剤gemcitabine添加後のmiRNAの変化について検討した.BRCA1 mutant typeのMDA-MB-436とBRCA1 wild typeのMDA-MB-231の2種類の乳癌細胞を使用した.ビーズ法でCD44陽性細胞を収集し,miRNA PCR arrayを行い84個のmiRNAの発現を検討した.GemcitabineによるmiRNAの変化をΔΔCt法で解析した.miR-1,155,186,31の発現はCD44陽性MDA-MB-436細胞の方がCD44陽性MDA-MB-231細胞より高かった.miR-1とmiR-186の発現はgemcitabine添加後MDA-MB-436とMDA-MB-231の両細胞で増加した.miR-155とmiR-31の発現はgemcitabine 添加後MDA-MB-436細胞で増加したが,MDA-MB-231細胞では減少した.この結果からBRCA1変異癌幹細胞の特徴は野生型癌幹細胞と比べてmiR-1,155,186,31の発現が高く,抗癌剤投与後も発現が低下しないmiR-155とmiR-31は治療抵抗性や悪性度と関連する可能性がある.
第381回昭和大学学士会例会(医学部会主催)
第382回昭和大学学士会例会(薬学部会主催)
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