昭和学士会雑誌
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総説
前立腺がんの排泄・性に関する看護文献の検討
吉原 祥子
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キーワード: 前立腺がん, 排泄,
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2014 年 74 巻 6 号 p. 654-660

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抄録

前立腺がんは5年生存率が比較的良好で,進行の緩やかながんである.排泄や性に関連する合併症が出現しやすい前立腺がん治療においては,生命の維持だけでなくQOLの視点が重視されるようになってきており,看護の立場からも排泄や性に関連したQOLの維持・向上をどのように支えていくかを考える必要がある.そこで,わが国の前立腺がんの排泄や性に関連する看護研究について文献検討を行い,知見を整理し,今後の課題を検討した.結果,2003年から2013年までの文献11本を対象とし概観したところ,前立腺がんの排泄や性に関する看護研究は細部を明らかにしたものはまだ少なく,研究方法は量的な研究,特に記述的研究デザインや相関関係的デザインで行われているものが多かった.研究内容は「排泄・性機能障害や負担感の実態」「排泄・性機能障害や負担感への対処」「排泄・性機能障害や負担感のセクシュアリティへの影響」「排泄・性機能障害や負担感に対する看護」に分類でき,「排泄・性機能障害や負担感への対処」については,深まった内容のものがみられていたが,「排泄・性機能障害や負担感のセクシュアリティへの影響」に関する研究は本数が少なく,また,日本の国民性を踏まえた探究には至っていなかった.今後はさらに対象者を焦点化すること,実験的研究や質的研究を行い,より看護実践に結びつけられるような研究を行っていくことが必要となる.

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© 2014 昭和大学学士会
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