昭和学士会雑誌
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症例報告
経過観察中に腫瘍内出血をきたした中間型松果体実質腫瘍(PPTID)の1例
国井 紀彦泉山 仁
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2014 年 74 巻 6 号 p. 675-681

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抄録

内視鏡的な腫瘍生検術施行後,経過観察中に腫瘍内出血による症状の増悪をきたした中間型松果体実質腫瘍(Pineal Parenchymal Tumor of Intermediate Differentiation:PPTID)の一例を経験したので報告する.症例は57歳男性.他院で松果体部に腫瘍を指摘され当院を受診.診断確定のため内視鏡的腫瘍生検・第III脳室底開窓術を施行.病理組織診断はPPTID WHO Grade IIで治療もすすめたが,本人の意向により経過観察となっていた.約1年半経過後,突然の頭痛・複視が出現し,CTで腫瘍内出血を認め緊急入院となった.再出血防止のため開頭腫瘍摘出術を施行.病理診断は今回もやはりPPTIDのGrade IIで,術後に放射線療法を施行,現在再発なく経過観察中である.本例では病理組織上,腫瘍内部に腫瘍内出血によるヘモジデリンの沈着が認められ,へモジデリン沈着部周囲の血管壁には硝子化変性による肥厚が認められた.このことから血管壁の硝子化変性により腫瘍内血管の内腔が狭小化し血栓が形成され,それに伴う壊死や出血が起きた可能性が考えられた.

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