昭和学士会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下手術後に悪性腫瘍の診断に至った卵巣腫瘍の3例
丸山 大介中山 健中村 真優子小林 弘樹池田 有理池袋 真相澤 利奈宮村 知弥吉泉 絵理田内 麻依子福地 弘子折坂 勝佐々木 康森岡 幹
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2020 年 80 巻 2 号 p. 195-203

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抄録

腹腔鏡下手術は婦人科領域においても近年増加傾向にある.当院でも良性腫瘍に対しては腹腔鏡下手術を第一選択としている.術前診断が良性卵巣腫瘍であり,腹腔鏡下手術後に境界悪性または悪性腫瘍と診断された症例について検討した.2016年1月1日から2018年4月31日までに,当院で卵巣腫瘍に対して腹腔鏡下手術を施行した症例は198例であった.198例中,術後診断が悪性であったのは2例,境界悪性は1例であった.3例の術前診断は繊維腫が1例,子宮内膜症性嚢胞が2例であった.CA125高値を2例に認めた.超音波所見では3例とも充実部分を認め,MRIでは1例に造影効果を認めた.術後に境界悪性腫瘍または悪性腫瘍と診断された頻度は1.7%であった.卵巣腫瘍は体腔内に存在し術前に病理学的検索ができないことが多いため,術前診断が良性であっても術後に境界悪性または悪性腫瘍と診断されることがある.そのため術前に十分なインフォームドコンセントにより術式を決定することが重要である.

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