昭和学士会雑誌
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症例報告
アルコールジェル誤飲の腐食性食道炎後の高度狭窄に対し胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した1例
佐藤 義仁大塚 耕司五藤 哲有吉 朋丈山下 剛史茂木 健太郎加藤 礼広本 昌裕斎藤 祥藤政 浩一朗村上 雅彦
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2023 年 83 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

患者は79歳女性.約1年前に,手指消毒用アルコールジェルの誤飲.その後に嚥下困難感が出現し近医受診し,腐食性食道炎の疑いにて経過観察されていた.3か月程前から嚥下障害・嘔吐が強くなり近医受診し,上部消化管内視鏡検査で胸部上部食道にびらんを伴う潰瘍と狭窄が観察され,精査加療目的に当院紹介受診された.当院での上部消化管内視鏡検査では切歯列21-25cmに潰瘍を伴う全周性狭窄を認め,経口内視鏡(OLIMPUS社 GIF-XZ1200)は通過しなかった.経鼻内視鏡(OLIMPUS社 GIF-1200N)で行った生検では悪性所見は認めなかった.内視鏡的拡張術を含め内科的治療では改善が期待できず,本人・家族より外科的治療の希望があり,胸腔鏡下食道亜全摘術・後縦隔経路胃管頸部食道再建術を行った.術後病理結果では,悪性所見は認めず,上部食道に高度狭窄部位を認めるのみであった.手指消毒用アルコールジェルが原因と考えられる腐食性食道炎後の高度狭窄に対して外科的治療を行った報告例はなく,良好な結果を得たので報告する.

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