【目的】子育て中の女性従業員が抱える健康の現状や構造がどのようなものであるかを、産業看護職へのインタビューから考察し明らかにする。
【方法】産業看護職 11 名に半構造化面接を実施し、質的帰納的分析方法を用いて分析を行った。
結果:産業看護職へのインタビューから、子育て中の女性従業員が抱えている健康の現状として、5 つのカテゴリが得られた。その構造は、『状態』、『影響』、『特性』という 3 つの要素から構成されていた。
子育て中の女性従業員は【子育てと仕事の狭間で揺れ動いている】、【何ともできずにいる】という『状態』に置かれており、その帰結として【自分の健康が置き去りになっている】【力づけられている】という『影響』が生じていた。子育てと仕事の両立により、< 心身のしんどさを抱えている >、< 明らかな心身の不良を抱えている > など心身の不調を抱える一方で、< 仕事の生産性が向上している > などポジティブな影響が生じていることを捉えていた。さらに、子育て中の女性従業員は産業看護職にとって【掴みづらい問題を抱えている】という『特性』も示された。< 問題がクリアでない >、< 本人からの発信は少ない >、< 周囲からの相談がきっかけで分かる >、< 本人に自覚がない > などがその要因となっている可能性があった。
【結論】産業看護職は、子育て中の女性従業員が心身の不調により仕事に影響を及ぼしている現状を把握しており、支援の必要性が示唆された。支援の方向性として、< 本人からの発信は少ない >、< 周囲からの相談がきっかけで分かる > ことが明らかになった点から、子育て中の女性従業員の置かれている現状や、抱えうる健康への影響、女性特有の身体的特徴などを周囲の社員に知ってもらえるよう、産業看護職が働きかける必要性が示された。また、< 本人に会って話せば分かる >、< 本人に自覚がない > ことが明らかになった点から、不調を来す可能性のある従業員を拾い上げ支援につなげられるような体制づくりの必要性が示された。