ヘルスプロモーション・リサーチ
Online ISSN : 2760-1439
ヘルスプロモーションレポート
健康経営に取り組む企業社員の生活習慣、ヘルスリテラシー、ソーシャル・キャピタルの関連
釜石 あずさ古川 照美
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2023 年 15 巻 1 号 p. 42-52

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抄録

目的:職域における健康づくりは、生産性の向上、医療費の削減などの面で重要である。本研究では健康経営に取り組んでいる企業で働く社員を対象とし、生活習慣、ヘルスリテラシーとソーシャル・キャピタルの関連を明らかにし、職域における健康づくりへの示唆を得ることを目的とした。

方法:A県内A企業に勤務する社員2,097名を対象とし、無記名自記式質問紙調査を行った。ヘルスリテラシーはHLS-EU-Q47、職場のソーシャル・キャピタル尺度を使用し、生活習慣別の各尺度得点の比較と、ヘルスリテラシーとソーシャル・キャピタルの相関、およびソーシャル・キャピタルレベルにおけるヘルスリテラシーの比較を共分散分析にて検討した。

結果:運動習慣がある人、主観的健康感で「健康」である人、健康に対する関心が高くなった人はヘルスリテラシーが高く、ソーシャル・キャピタルは、喫煙習慣,健康教室受講以外の項目に差が認められ、ソーシャル・キャピタル高群は中群、低群に比べヘルスリテラシーが高い結果であった。職域における健康増進と個々人のヘルスリテラシー向上のためには、ソーシャル・キャピタルを豊かにする取り組みも効果的と考えられた。

結論:個人へのアプローチ以外に職場全体として健康経営に取組み、ヘルスリテラシー及びソーシャル・キャピタルを高めることが、社員の良好な生活習慣の形成と職域の健康づくりに寄与すると考えられた。

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© 2023 日本ヘルスプロモーション学会
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